絵の練習が続かない3つの理由
絵がうまくなりたい、毎日描こう。そう決めた3日後には、ペンを持たないまま1週間が過ぎている。よくある話ですが、原因は根性ではなく、練習の設計にあります。
理由1:何を描くか決める段階で止まる
もっとも多い脱落地点です。描く時間は取れているのに、白い紙やキャンバスを前に「何を描こう」と考え始めて、そのままスマートフォンを見て終わります。描く前に判断が必要な状態が、練習の入口をふさいでいます。
理由2:終わりが決まっていない
「今日は1枚描く」という決め方だと、1枚が完成するまで終われません。納得できないうちは終われないので、疲れて中断し、未完成の絵が残ります。未完成が積み上がると、描くこと自体が重い作業になります。
理由3:上達が見えない
絵の上達は緩やかで、1週間や2週間ではほとんど変化を感じられません。変化が見えないまま続けるのは誰でもつらいので、手応えがないうちにやめてしまいます。
お題を使うと、なぜ続くのか
3つの理由のうち、1と2は「お題を使う」だけで解消できます。お題とは、描く対象を自分で決めず、外から与えられる形にすることです。ランダムに表示される画像を描く、指定されたテーマで描く、といった方法が該当します。
効果は3つあります。
- 迷う時間がなくなる — 描くものが最初から決まっているので、座ってすぐ手を動かせます
- 苦手なものを避けられなくなる — 自分で選ぶと、描きやすいものばかり描いてしまいます。お題ならその偏りが消えます
- 完成させなくてよくなる — 練習だと割り切れるので、途中でも次に進めます
3つ目が特に重要です。作品を作るのと練習するのは別の行為で、練習では完成度を追わないほうが枚数をこなせます。
制限時間を決めるとさらに変わる
お題に加えて制限時間を設けると、練習の質が変わります。時間で区切ると、終わりが自動的に来るためです。
時間ごとに、鍛えられる部分が違います。
| 制限時間 | 鍛えられること | 向いている段階 |
|---|---|---|
| 30秒 | 全体の形をとらえる。細部を捨てる判断 | 細かく描き込みすぎる癖がある人 |
| 1分 | 大まかな形と、姿勢や動きの流れ | 毎日の基礎練習 |
| 5分 | 形に加えて、比率とバランスの調整 | 形が取れるようになってきた段階 |
| 10分以上 | 陰影、質感、構造の理解 | 特定の対象を集中的に描くとき |
短い時間ほど価値が低いわけではありません。30秒で全体をとらえる練習は、細部から描き始めてバランスを崩す癖の矯正に効きます。逆に、いきなり10分の練習ばかりしていると枚数が伸びず、手が慣れるまでに時間がかかります。
上達を実感するための記録の取り方
続かない理由の3つ目、上達が見えない問題は、記録で対処します。
やり方は単純で、描いたものを日付つきで捨てずに残すだけです。デジタルなら日付のフォルダに保存し、紙なら描いた日を書き込んでおきます。
そのうえで、1か月に一度だけ、1か月前の絵を見返してください。毎日見ていると変化に気づけませんが、1か月空けると差が見えます。この「見返す日」を月に1回決めておくことが、続けるうえでの支えになります。
また、記録は枚数で取るのがおすすめです。「今日は上手く描けた」という感覚は日によってぶれますが、「今週70枚描いた」は動きません。数えられるもので進み具合を見るほうが、モチベーションが安定します。
お題を用意する方法
お題は、写真集や画像検索でも用意できます。ただ、毎回自分で画像を探すと、その工程がまた「描く前の判断」になってしまい、続かない原因に戻ります。自動でお題が出てくる仕組みを使うほうが確実です。
RakuYadeで公開しているおえかきやろかは、この用途のために作ったお題アプリです。ジャンル、制限時間、描く枚数を選ぶと、ランダムに画像が表示され、時間が来ると自動で次のお題に進みます。イラストモードと写真モードがあり、制限時間は4種類から選べます。一時停止やキー操作にも対応しています。
ブラウザで動くので、インストールは不要です。紙に描く場合でも、画面をお題表示として使えます。
まとめ
絵の練習が続かないのは、描く前に何を描くか決める必要があり、終わりの時間も決まっていないためです。お題と制限時間を外から与える形にすると、この2つが同時に解消されます。
まずは30秒のお題を6枚、3分間だけやってみてください。3分なら、気が乗らない日でも始められます。始めてしまえば続けられる日も出てくるので、最初の一歩を軽くしておくことが、結果的にいちばん効きます。