Googleフォームの回答を見落とす仕組み
Googleフォームは、アンケート、申込、問い合わせ窓口として手軽に使えるのが利点です。ただ、そのまま使うと回答が届いても気づけません。初期状態では、回答はフォームの中に静かに溜まっていくだけで、こちらから見に行かないかぎり通知は届かないためです。
見落としが起きる典型的な流れは決まっています。フォームを作った直後は毎日確認するので問題ありません。しかし回答が来ない日が続くと、確認の頻度が落ちます。そして確認しなくなったころに回答が届き、気づくのは数日後、というパターンです。
もう一つの落とし穴が、フォームが増えたときです。問い合わせ用、申込用、アンケート用と用途ごとにフォームを分けるのは自然な運用ですが、確認する場所がそのぶん増えます。3つあれば3か所を見て回る必要があり、どれか1つを見忘れることが必ず起きます。
まずやる:回答が届いたら通知が来るようにする
最初に設定すべきは、回答が届いたときのメール通知です。Googleフォームには、新しい回答があったときにメールで知らせる設定が用意されています。フォームの編集画面から「回答」のタブを開き、メニューの中にある通知に関する項目を有効にしてください。
この設定を入れると、回答が届くたびにメールが届きます。確認しに行く運用から、届いたら気づく運用に変わるだけで、見落としの大半は防げます。
設定項目の名称や配置は、Googleのアップデートによって変わることがあります。見つからない場合は、回答タブ内のメニュー(三点アイコン)から通知に関する項目を探してください。
回答をスプレッドシートに集める
通知を設定したら、次は回答の保存先です。Googleフォームは回答をスプレッドシートに出力できます。回答タブから連携先のスプレッドシートを作成すると、以降の回答が自動で行として追加されていきます。
スプレッドシートに出す利点は3つあります。
- 一覧で見渡せる — フォームの回答画面より、行として並んだほうが全体を把握しやすくなります
- 並べ替えと絞り込みができる — 日付順、種別ごとなど、必要な切り口で見られます
- 列を足せる — 次に説明する対応状況の管理ができるようになります
「対応したかどうか」を記録する列を作る
ここが、見落とし対策としてもっとも効く部分です。届いたことに気づけても、対応が終わったかどうかを記録していないと、結局あとから分からなくなります。
連携したスプレッドシートの右端に、次の3列を足してください。
| 列名 | 入れる内容 |
|---|---|
| 対応状況 | 未対応/対応中/完了 の3つから選ぶ |
| 対応日 | 返信した日、または処理を終えた日 |
| メモ | 返信内容の要点、保留している理由など |
対応状況の列にはプルダウン(データの入力規則)を設定し、入力ゆれが起きないようにしておくと、あとで絞り込みが効きます。さらに条件付き書式で「未対応」の行に色を付けておくと、開いた瞬間に残っている案件が分かります。
回答が来るたびにこの列を埋める、という運用さえ守れば、フォーム1つの管理はこれで完成します。
通知メールが埋もれないようにする
通知を有効にすると、今度は通知メールが他のメールに埋もれる問題が出てきます。Gmailを使っているなら、フィルタとラベルで対処できます。
- フォームの通知メールに共通して含まれる文字列(フォーム名など)を確認する
- その条件でフィルタを作成し、専用のラベルを付ける
- ラベルを付けたメールを受信トレイに残す設定にする(自動アーカイブはしない)
フォームごとにラベルを分けておくと、どのフォームに回答が来たかが件名を読まなくても分かります。ラベルに色を付けておけば、さらに判別が早くなります。
フォームが増えると、この方法は破綻する
ここまでの方法は、フォームが1つか2つのうちは十分に機能します。ただし数が増えると、次の問題が出てきます。
確認する場所が分散する
フォームごとにスプレッドシートが1つずつできるため、5つのフォームがあれば5つのシートを開いて回ることになります。「未対応が今いくつ残っているか」を知るために、毎回5か所を確認する必要があります。
対応状況の付け方が揃わなくなる
シートを作った時期によって列の並びや表記が変わり、同じ「完了」でも書き方が違う、という状態になります。こうなると横断的な把握は事実上できません。
通知メールの量が増えて麻痺する
フォームが増えるほど通知メールも増え、ラベルで分けていても数が多いと1件ずつ処理する気力が続かなくなります。結果として、通知はあるのに見ていない、という最初の状態に戻ります。
この段階に達したら、フォームごとに管理する発想をやめて、複数フォームの回答を1か所に集めて見る方法に切り替える必要があります。
自動化しようとして、実際につまずいたところ
ここからは、Googleフォームの回答を自分のツールから読み取る仕組みを実際に作ったときに踏んだ落とし穴です。設定画面を触るだけでは出てこない部分なので、フォームの管理を自動化しようと考えている場合だけ読んでください。
回答用のURLを貼っても、回答は取れない
Googleフォームには、見た目のよく似たURLが2種類あります。この2つは中に入っているIDが別物で、片方からもう片方を割り出すことはできません。
| URL | どこで出てくるか | 回答を取れるか |
|---|---|---|
docs.google.com/forms/d/<ID>/edit | 自分がフォームを編集するときに開く画面 | 取れる |
docs.google.com/forms/d/e/<別のID>/viewform | 回答者に配るURL | 取れない |
forms.gle/… | 共有ボタンで出る短縮URL | 取れない |
回答者に配るURLは手元にあることが多いので、つい先にそちらを貼ってしまいます。ところがそのIDでは回答を読み取れず、エラーの理由も分かりにくい形で返ってきます。使うのは末尾が /edit のURLだけだと覚えておくと、ここで詰まらずに済みます。短縮URLは元のIDが復元できないため、展開してから貼る必要があります。
回答通知の購読は7日で勝手に切れる。しかもエラーが出ない
これが一番厄介でした。Googleフォームには、新しい回答が届いたことを外部へ知らせる仕組み(ウォッチ)があります。これを一度登録しておけば、あとは通知が飛んでくる——と思っていると失敗します。
この購読は最長7日で失効します。そして失効しても、エラーは何も出ません。通知が静かに来なくなるだけです。回答が0件の日と、通知が壊れている日は、こちらから見るとまったく同じに見えます。
気づいたのは、フォームを新しく登録しない期間が続いたときでした。登録のたびに購読を作り直していたため、それまでは偶然更新され続けていたのです。フォームを追加しない週が来た瞬間に、通知が止まりました。
対策は、回答が来るかどうかとは無関係に、購読を毎日更新し続けることです。あわせて、更新の結果を必ずログへ残します。エラーが出ない仕組みは、こちらから見に行かないかぎり壊れていることが分かりません。実際の運用では、更新処理を毎日1回動かし、その記録の日付と件数を定期的に確認しています。
「エラーが出ないから動いている」と考えないでください。通知が届かない障害は、届かないという事実そのものが見えません。動いていることを示す記録を残し、その記録を見に行く手順まで決めて、はじめて運用になります。
Googleドライブ全体を見る権限は、じつは要らない
フォームを一覧から選ばせようとすると、Googleドライブを読む権限が必要になります。ところがこの権限は、Googleの審査で厳しく扱われる種類のもので、利用者から見ても「なぜドライブ全体を見せる必要があるのか」と不安になる部分です。
実際に作ってみると、この権限は無くても成立します。フォームを一覧から選ばせるのをやめ、編集画面のURLを貼ってもらう方式に変えれば、必要なのは「そのフォームの質問と回答を読む権限」だけになります。一覧から選べない不便さは残りますが、要求する権限が減るぶん、同意画面が分かりやすくなり、審査で問われる点も減ります。
自動化を作るときは、先に「何を諦めれば権限を減らせるか」を考えるほうが、あとが楽になります。権限を広く取ってから狭めるのは、公開後だと簡単ではありません。
複数フォームをまとめて確認する
複数のフォームの回答を1画面に集約し、対応状況をまとめて管理するために作ったのが、RakuYadeの返事きたでです。
複数のGoogleフォームに届いた問い合わせを一括で確認でき、内容の確認と対応状況の管理を同じ画面で行えます。フォームごとにスプレッドシートを開いて回る必要がなくなるため、未対応がどれだけ残っているかを一目で把握できます。Googleログインを使い、連携は読み取り専用の範囲で行います。
扱うデータの範囲や連携の詳細は紹介ページにまとめてあるので、利用前に確認してください。
まとめ
Googleフォームの回答を見落とすのは、初期状態では通知が届かないうえに、対応したかどうかを記録する場所がないためです。
まず通知を有効にして、届いたときに気づける状態を作る。次に回答をスプレッドシートに集め、対応状況・対応日・メモの3列を足して、処理済みかどうかを残す。この2つだけで、フォーム1つの運用はほぼ安定します。
フォームが3つ、4つと増えてきたら、個別管理では追いつかなくなります。そのときは確認場所を1か所にまとめる方法へ切り替えてください。