選ぶ前に決めておくこと
メモアプリを比較サイトで探すと、機能の多さや人気順で並んだ一覧が出てきます。ただ、その順番は自分にとっての使いやすさとは関係がありません。選ぶ前に、まず何を書くのかをはっきりさせてください。
用途は大きく3つに分かれます。
| 用途 | 内容 | 重視する条件 |
|---|---|---|
| 瞬間メモ | 買い物リスト、思いつき、電話の伝言 | 起動と入力の速さ |
| 蓄積メモ | 調べたこと、勉強の記録、仕事の資料 | あとから探せること |
| 下書き | 記事、文章、企画の草案 | 書きやすさ、文字数の扱い |
この3つは求めるものが違うので、1つのアプリで全部を最適化することはできません。主にどれを書くのかを決めてから、次の5条件で判断してください。
条件1:思いついてから書き始めるまでが速いか
実際に使い続けられるかどうかを、最も左右する条件です。アプリを開いて、新規メモを作って、入力欄にカーソルが入るまでに何回タップが必要かを数えてください。
3タップを超えると、外出中や作業中の思いつきは高い確率で書かずに終わります。理想は、アプリを開いた瞬間に入力できる状態になっていることです。
あわせて、起動そのものの速さも見てください。高機能なアプリほど起動に時間がかかる傾向があり、数秒待たされるだけで使わなくなります。
条件2:増えたあとに探せる仕組みがあるか
メモアプリの評価が分かれるのは、たいてい100件を超えたあとです。10件のうちは何を使っても快適なので、少ない状態で試しても差が分かりません。
見るべきは、探すための手段が何種類あるかです。
- 全文検索 — 本文の中身まで検索できるか。タイトルだけの検索では足りません
- 構造化 — フォルダや階層でまとめられるか。同じ階層に全部並ぶ形式は、増えると破綻します
- タグ — 分類をまたいで集められるか
- ピン留め — よく使うメモを上に固定できるか
このうち、蓄積メモが主用途なら構造化の有無を最優先にしてください。検索は、探しているものの内容を覚えている場合にしか効きません。実際に探すときは「たしか去年、何か書いた気がする」という曖昧な記憶から始まることが多く、その状態では検索語が出てきません。
条件3:使う端末すべてで開けるか
スマートフォンで書いて、パソコンで見返す。この流れができないと、メモは書きっぱなしになります。
確認するのは3点です。
- 手持ちの端末すべてに対応しているか(スマートフォン、パソコン、タブレット)
- 同期が自動か、手動操作が必要か
- アプリのインストールが必要か、ブラウザだけで開けるか
学校や職場のパソコンなど、アプリをインストールできない環境で使う可能性があるなら、ブラウザで動くものを選んでおくと詰まりません。
条件4:データを外に持ち出せるか
見落とされがちですが、長く使うほど重要になる条件です。数年分のメモが溜まったあとで、サービスが終了する、あるいは料金体系が変わって使い続けられなくなる、ということは実際に起こります。
そのときに、メモを外に取り出せるかどうかで被害が変わります。
- エクスポート機能があるか
- 取り出したデータが、他のアプリで読める形式か(テキスト、Markdown、HTMLなど)
- 一括で取り出せるか、1件ずつしか出せないか
独自形式でしか出せない場合、実質的に持ち出せないのと同じです。始める前に、出口があるかを確認しておいてください。
条件5:無理なく使い続けられる提供形態か
メモは数年単位で使うものなので、途中で使えなくなる要素があると困ります。
無料プランで始める場合は、無料の範囲がどこまでかを先に見てください。メモ件数、容量、同期できる端末数のいずれかに上限があることが多く、その上限に達するのはたいてい使い込んだあとです。有料に切り替える前提なら、金額が続けられる水準かを判断しておきます。
あわせて、そのサービスがどう運営されているか(提供元、更新の頻度、問い合わせ窓口の有無)も見ておくと、長く使えるかの判断材料になります。
実際の選び方
5つの条件を全部満たすアプリを探そうとすると決まりません。用途ごとに優先順位を付けてください。
| 主な用途 | 最優先 | 次に見る |
|---|---|---|
| 瞬間メモ | 条件1(書き始めの速さ) | 条件3(端末対応) |
| 蓄積メモ | 条件2(探せる仕組み) | 条件4(持ち出し) |
| 下書き | 条件3(端末対応) | 条件4(持ち出し) |
試すときは、2週間以上、実際の使い方で使ってください。機能一覧を眺めて決めると、条件1のような日常的な使い勝手が判断できません。
また、複数のアプリを併用するのは悪い選択ではありません。瞬間メモは軽いアプリ、蓄積メモは構造化できるアプリ、と分けている人は多く、無理に一本化するより現実的です。
蓄積メモ向けの選択肢
条件2を重視する場合、つまり書いたメモを長く残して見返したい場合は、階層でまとめられるアプリを選ぶことになります。
RakuYadeで公開しているまとめときやは、この用途に向けて作ったWebメモアプリです。メモの下にメモをぶら下げる階層構造で整理でき、階層をマインドマップとして表示して全体のつながりを確認できます。ピン留め、テンプレート、自動保存にも対応しています。ブラウザで動くため、インストールできない環境でも使えます。
扱うデータや注意点は紹介ページにまとめてあるので、使う前に確認してください。
まとめ
メモアプリは、機能の多さではなく用途との相性で選ぶものです。まず自分が書くのが瞬間メモか、蓄積メモか、下書きかを決めてください。
そのうえで、書き始めまでの速さ、増えたあとに探せるか、使う端末すべてで開けるか、データを持ち出せるか、続けられる提供形態か、の5つで判断します。全部を満たすものを探すのではなく、用途に応じて優先順位を付けるほうが決まります。
そして、決めたあとは最低2週間、実際の生活の中で使ってみてください。合わなければ変えればよく、乗り換えを前提にするなら条件4の持ち出しやすさが効いてきます。